スプレー エキスパート テクニック編 「ムラ消し ドロップコート」とは
さて、「ムラ消し」とはメタリック、パールのベースコートの塗装の際に、アルミやパールをきれいにそろえるテクニックのことです。
パネル1枚にベースコートを塗装する場合と、パネルの一部を補修する場合がありますが、ムラ消しはどちらも共通していますので、補修する場合で説明します。
まず下地がある部分に「ミディアムコート」で色を染めます。これはあくまで外資系1液塗料で塗装する場合ですが、最近はハイソリッドになってきておりますので、たいがい2〜3回くらい吹けば染まります。(色にもよりますが)
下地部分に色が染ったらここからが問題です。1液塗料ならオーバーミストはすぐ乾くため、タッククロスで拭けるので、周辺部のミストの処置はできます。もし、そのままダスト処理をせずに、クリヤーで仕上げてしまったら、そのボカシ際はおそらく黒ずんで、塗装箇所がはっきりとわかってしまいます。黒ズミの出にくい1液型塗料でさえ、シルバーのボカシ際は苦労します。濃色はまだわかりにくいようですが、特にシルバーはこの傾向が出ます。
国産の2液型塗料の場合は硬化剤の成分が悪さをするため、1液型塗料に比べれば、はるかに出やすくなります。この場合は下にあらかじめ、アンダークリヤーを塗装しておいて、間髪入れずにアンダークリヤーがまだウェットの上にベースをボカす、というような苦労をされていることでしょう。これについては詳しくは省略します。
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さて、いよいよ「ムラケシュ」ですが、このボカシ際、皆様はどのように吹かれていますか?
「ドロップコート」という言葉をお聞きになったことってありますか?この言葉ルーツは、ある外資系塗料メーカーが使っておりました。そのデモンストレーターが考えだしたテクニックであるように思うのですが・・・? (おそらく日本人です。) 語尾が過去形なのは、ベースがハイソリッドに変わったと同時に、これは「ミディアムコート」という表現に置き変わったからです。うむ、どちらもあまり聞きなれない言葉ではありますか・・?。
ドロップコートする箇所は、ミディアムコートで色を染めた部分にムラがあるところと、ボカシ際まで含めた部分にドロップコートします。ベースコートを塗った部分全部とお考えください。少し広めにドロップコートする。
特にお伝えしたいのはスプレーガンの設定についてです。具体的には次のようなことです。
■ ドロップコートのスプレーガンの設定
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- スプレーガンの塗出量は全開にする。(色決めと同じように多く塗料を出す)
- 空気圧ツマミを絞る。(エアー圧ツマミを色決めより0.5〜1回転くらい絞める。)
- ガン距離をやや離して、オーバーに言えば遠くからややゆっくりスプレーする。
こうすればどうなると思いますか?
塗料がたくさん出て、空気圧を絞るわけですから、粒は粗くなり、表現は難しいですが、ボタボタと出ます。
「ドロップコート」の語源は雨粒のイメージです。遠くから雨粒を落とすような感じとでも表現したらよいのでしょうか。スプレーガンはややゆっくり動かします。
ちょっとでも塗装経験のある人なら、イメージできると思いますが、普通、その方法なら、粒がマダラ模様に仕上がってしまいそうに思います。
確かに塗った直後はマダラ模様ですが、摩訶不思議、時間が経つにしたがってマダラは見事に消え、メタリックがきれいに並んで、ボカシ際の黒ズミも解消されています。これは1液ベースコートの特徴で、乾燥までに少しだけ時間を与えてやれば、自然にアルミが並ぶ仕組みになっているからです。
またドロップコートをしたあとはエアブローはせず、ぐっとがまんして、しばらく待つこともお忘れなく。
「ミデアムコート」はこれより少しエアーを多く出すカンジです。ハイソリッドになってから塗料の乾燥がやや遅くなったために、「ミディアムコート」で「ムラケシュ」ができるようになりました。
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これらスプレーガンの設定条件のほかに、シンナーの乾燥スピードと希釈割合が加わってくると、組み合わせは、もう少し複雑になってきますが、まずはその気温にあったシンナーの選択と、その塗料の標準的な希釈割合で試してみてください。さらに塗装技術を追求するならば、その時点で塗料の条件も変えてみる。
ポイントはパサパサ(ドライコート)に吹かないことかな。パサパサに吹いてしまうと、アルミが自然に配列する時間がなくなるからです。
このテクニックはいろいろと応用できます。1液型塗料ならアンダークリヤーなんてのも必要なし。塗料の性質によっては、多少の違いはあると思いますが、試してみる価値はあります。失敗は成功のもと。塗装は経験則が物を言うので、仮に失敗しても次の成功の糧になります。
「そんなこと100年前から知ってるわい」と言われそうですが・・・?
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■水性塗料はドロップコートが復活です!!
近頃、VOC対策で水性塗料を導入されるユーザーが増えてまいりました。弊社でも、そろそろ水性塗料の納入実績が出てまいりました。
その水性塗料の塗り方ですが、メタリック、パールは以前にやっていた「ドロップコート」というテクニックを使います。シルバーの塗り方の詳細は、弊社技術担当が詳しくレポートします。 ▲コチラ
■後記
・アフリカにモロッコという国があります。「MARRAKECH マラケシュ」はそのモロッコのなかでもひじょうに興味深い街です。「MURRAKECH ムラケシュ」はそこで流行っています。えっそれ何だ? 発音がよく似ているのでちょっとシャレてみました。
・たぶん、塗装に関することって、アネスト***さんの技術担当者も詳しいことは解らないんでしょうネ。なぜかと言うとスプレーガンのメーカーは、スプレーガンという道具のことしか考えてないし、塗料メーカーは塗料のことしか考えてないんですもんね。業界ではこの二つは、意外にもリンクしてないんですね。こんどアネスト***さんに「ムラケシュ」のテクニック、こっそり教えたげようっと・・・。ごめんなさい「ナマ」言いました。
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